3 私たちの挑戦イノベーションを通じてさらなる排出量の削減へ。
エネルギー需給の双方における革新的技術
電機・電子業界各社では、エネルギーの需要と供給の双方において、既存技術のさらなる高度化、革新的技術の開発に挑戦するとともに、これら技術の普及に努めています。(図13)
図13 電機・電子業界が関わる革新的技術の例
出典:経済産業省「Cool Earth - エネルギー革新技術計画(2008)」の説明資料から抜粋し、
電機・電子温暖化対策連絡会でその内容をアップデートして作成
革新的技術の開発・普及
高効率火力発電
世界で使用される電気の約7割を供給する火力発電(石炭、石油、天然ガス)の分野では、蒸気の高温・高圧化、石炭の微粉塵化燃焼、ガスタービンと蒸気タービンの複合運転など、新技術の導入による発電効率の改善に努めています。
その結果、日本の火力発電の効率は、現在、世界のトップクラスにあります。さらに現在は、固体酸化型燃料電池とコンバインドガスタービンシステムとの複合化(トリプルコンバインドサイクル方式)による効率改善などの技術開発を進めています。(図14)
CO2回収・貯留(CCS)
CCS※8は、工場や発電所などから排出されるCO2を回収・貯留する技術です。既存の火力発電所にも導入可能であり、温暖化防止に貢献する技術として期待されています。(図16)
福岡県では、CO2回収量10t/日規模のパイロットプラントが建設中で、石炭火力プラントの開発・改良や運転性・運用性・保守性についての実証が進められています。
- ※8
- CCS:Carbon dioxide Capture and Storage
パワーエレクトロニクス
パワーエレクトロニクス製品は、電力の変換や制御に欠かせないキーデバイスです。家電、電気自動車、鉄道から電力供給に至るまで省エネ化を進め、カーボンニュートラルの実現に貢献しています。(図15)
スマートグリッド・スマートコミュニティ
風力・太陽光発電など再生可能エネルギーと、従来の発電方式、大容量の電池を組み合わせ、電力を供給・需要側の双方から最適制御して安定供給する次世代送電網「スマートグリッド」と、これを基盤に地域全体で省エネを実現する「スマートコミュニティ」の開発を進めています。
電機・電子業界各社は、国内外のスマートコミュニティ開発に向けた実証計画※9に積極的に参加しています。(図17)
- ※9
- 日本、アメリカ、スペイン、イギリス、フランス、イタリア、ブルガリア、中国、ベトナム、タイ、マレーシア、インドなどで実施
IT/IoTソリューション
IoT、AI、ビッグデータ、ロボットなどの技術を活用したIT/IoTソリューションが注目されています。
IT/IoTソリューションは、センサで収集した現実世界のデータをAIやビッグデータ解析を用いて分析することで、課題解決に向けた知見を抽出し、これを最適制御やロボットによる自動化などに活用します。これにより、工場や物流などの省力化・効率化だけでなく、シェアリングなどの新しいサービスを実現し、社会全体のエネルギーや資源の利用効率を向上させることができます。電機・電子業界各社は、革新的なIT/IoTソリューションの開発と普及に努めています。(図18)
適応策
電機・電子業界各社は、温室効果ガスの排出削減と吸収の対策を行う「緩和策」に加えて、気候変動の影響による自然災害などの経済損失や人的被害の最小化を図る「適応策」に対しても、IT/IoTソリューションを活用するなどして積極的に取組んでいます。
事例:洪水シミュレーション
地質データ、水位、観測/予測雨量データ、センサデータなどから洪水の発生を予測し、住民への早期警報やハザードマップづくりなどを支援しています。