電機・電子業界の温暖化対策

2 私たちの取組みエネルギーの生産段階から使用時まで。多様な技術を結集して。

私たちの取組み エネルギーの生産段階から使用時まで。多様な技術を結集して。

製品・サービスによる社会全体の省エネ・脱炭素化

電機・電子業界各社は、多種多様な技術や製品・サービスを、国内外の産業・業務・家庭・運輸・エネルギー転換のあらゆる部門に提供することにより主体間連携を推進し、グローバル規模での省エネ・脱炭素化に貢献しています。

各部門での貢献事例

再生可能エネルギーエネルギー転換部門

世界では再生可能エネルギーの普及が目覚ましく、日本においても第6次エネルギー基本計画で再生可能エネルギーを主力電源とすることが明記されています。電機・電子業界各社では、再生可能エネルギーのグローバルな普及を推進しています。

太陽光発電
メガソーラー太陽光発電所(モンゴル)

メガソーラー太陽光発電所(モンゴル)

電機・電子業界各社は大規模太陽光発電(メガソーラー)の高効率化や低コスト化を進め、国内外での普及に努めてきました。
モンゴルでは二国間クレジット制度を活用したプロジェクトを推進し、10MWの太陽光発電の導入により、約1.3万t-CO2/年の排出抑制が見込まれています。

地熱発電
オルカリア地熱発電所(ケニア)

オルカリア地熱発電所(ケニア)

地熱発電では、大容量で安定した発電が可能です。特に今後電力需要の拡大が見込まれる中東、東アフリカ地区では、地熱発電所の新規建設が数多く計画されています。

例えば、ケニアでは2030年までに地熱発電容量を5,000MWまで増大させる目標が掲げられています。電機・電子業界各社は、同国で建設される地熱発電所に蒸気タービンや発電機などの機器を供給し、参画しています。

風力発電

近年、安定的な強い風による発電が期待できる洋上風力発電の開発が世界各地で進められています。

日本でも、平成23年度より、福島県において独特の急峻な海底地形に合わせて開発した浮体式の大型洋上風力発電システムの実証事業(2MW,5MW,7MW)が行われました。

洋上風力発電は、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札として、政府のグリーン成長戦略でも重要分野に位置づけられ、魅力的な国内市場創出のため、2030年までに1,000万kW、2040年までに浮体式も含む3,000万kW~4,500万kWの案件形成が目標として掲げられています。こうした導入目標及びインフラやルールの整備によって、国内外での投資促進、強靱なサプライチェーン構築、さらにはアジア展開も見据えた次世代技術開発、国際連携に取り組んでいくことが計画されています。


高効率モータ産業部門

トップランナー制度※3対象機器に指定されている高効率モータ(トップランナーモータ)は、従来型JIS C 4210:2010規格値と比較すると約35%の損失低減効果が期待できます。経済産業省による試算でも、従来型からすべてIE3(プレミアム効率)に置き換えられた場合に期待される電力削減量は、日本の全消費電力量の約1.5%に相当する155億kWh/年になるとされており、極めて大きな省エネ効果が期待できます。(図8)

※3
家電の省エネ性能や自動車の燃費基準について、現在商品化されている製品のうち最も優れている機器の性能以上にすることを義務づけるもの。

図8 モータの効率および損失低減率(50Hz 、4極、7.5kWの例)

モータの効率および損失低減率(50Hz 、4極、7.5kWの例)

出典:(一社)日本電機工業会

FEMS産業部門

工場全体のエネルギー消費を削減するために、エネルギー使用量を監視して、ピーク電力の調整や状況に応じた空調、照明機器、生産ラインなどの運転制御を行う工場エネルギー管理システム「FEMS※4」の普及を推進しています。

工場内の電力量計や水道メーターなどのデータと製造ラインの稼働状況データを統合的に見える化して生産効率を改善するなど、IT/IoT技術を活用したソリューションも展開しています。

※4
FEMS:Factory Energy Management System

BEMS業務部門

オフィスビルなどのエネルギー使用状況を見える化し、空調・照明や蓄電池などを制御することで最適なエネルギー運用を支援するビルエネルギー管理システム「BEMS※5」の普及を推進しています。

クラウド技術の活用で初期費用を低減し、中小規模ビルへの導入も増加しています。設備や運用方法などにもよりますが、BEMSを導入することで、約10%の省エネが期待されます。(図9、10)

※5
BEMS:Building Energy Management System

図9 クラウドによるエネルギー管理

クラウドによるエネルギー管理

図10 BEMSによる削減率

BEMSによる削減率

出典:(一社)電子情報技術産業協会

LED照明業務部門

高い省エネ性能を誇る高効率LED照明や用途ごとに使い分けた照明設計により、オフィスビル全体の省エネ化を進めることができます。
天井照明の全LED化を実現したオフィスでは、パーソナル制御や人感センサ、昼光センサとの併用で、蛍光灯に比べ約1/3まで省エネを実現した事例があります。


省エネ家電家庭部門

家電やオフィス機器の多くはトップランナー制度対象機器に指定されています。電機・電子業界各社では、革新的な技術の開発・導入を通じて、エネルギー効率の改善や待機時電力の低減などを着実に進め、大幅な省エネ性能の向上を実現しています。(図11)

図11 家電のエネルギー効率改善

家電のエネルギー効率改善

出典:(一財)家電製品協会「2021年度版スマートライフおすすめBOOK」所収各試算データから電機・電子温暖化対策連絡会で作成

HEMS家庭部門

家電や電気設備の使用状況と電気・ガスなどの使用量をモニター画面で見える化し、自動制御することで省エネを実現する家庭エネルギー管理システム「HEMS※6」の普及を推進しています。(図12)

※6
HEMS:Home Energy Management System

図12 HEMSイメージ

HEMSイメージ


交通監視システム運輸部門

交通監視システムイメージ

交通監視システムイメージ

交通渋滞によるCO2排出量の増加は、新興国を中心に環境問題となっています。その解決に向けて、AIやIoT技術を活用して渋滞や事故をリアルタイムかつ高精度に検出し、信号機を最適に制御することで、環境負荷や渋滞を効率的に抑止する交通監視システムの普及を進めています。インドネシアやフィリピンなどで導入されています。

HV・PHV・EV運輸部門

HV・PHV・EV※7は、各国の環境規制の強化とともに普及段階を迎えています。

HV・PHV・EVには、従来のエンジンに代わり、バッテリーやモータなど多くの電子部品・デバイスが搭載されています。また、充電設備の整備も不可欠です。電機・電子業界各社では、HV・PHV・EV向けの電子部品・デバイスや充電設備の開発を進め、普及に貢献しています。

※7
HV:ハイブリッド自動車 PHV:プラグインハイブリッド自動車 EV:電気自動車
  • 行動計画参加企業 製品貢献事例
  • 行動計画参加企業 工場・オフィス省エネ事例
  • 電機・電子業界の温暖化対策 日本語版
  • 電機・電子業界 カーボンニュートラル行動計画 実施要領

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